コラム
2026年04月23日
不動産売買境界未確定物件とは?問題点と解決策、売却時のポイント
境界未確定物件とは?

不動産の売却を検討する際、見落とされがちでありながら大きなトラブルにつながりやすいのが「境界」の問題です。
境界未確定物件とは、隣地との筆界・所有権界が現地や書面で十分に確認できず、確定測量図、境界標、隣地所有者の立会確認書などが揃っていない物件をいいます。
一見すると問題がないように見える場合でも、売買のタイミングで状況が一変することがあります。たとえば、決済直前になって界標が見つからない、越境が判明する、隣地所有者が立会いに応じないといったケースです。こうした問題は直前になって表面化しやすく、スムーズな取引の妨げとなる要因になります。
実際に、不動産流通推進センターも、境界確認を後回しにすることで決済の延期や契約トラブルに発展する可能性があると指摘しています。
そのため、境界未確定物件は「あとで対応すればよい問題」ではなく、売却前から適切に把握し、対策を講じておくべき重要なポイントといえます。
主な問題点
境界未確定物件には、実務上見逃せない大きな問題がいくつかあります。特に重要なのは次の三点です。

① 融資が通りにくくなる
境界が曖昧なままだと、金融機関は担保評価を慎重に判断します。将来的な再販性にも不安が残るため、結果として買主が住宅ローンを利用しにくくなるケースがあります。
② 越境や面積をめぐるトラブルのリスク
塀や樹木、配管、庇などが隣地に越境しているケースは珍しくありません。こうした問題は後から発覚することも多く、事前の説明が不十分だと売主や媒介業者の責任問題に発展する可能性があります。
③ 境界確認が進まないケースがある
隣地所有者が不明だったり、相続が未了のままだったりすると、立会いによる境界確認が進まないことがあります。この場合、売却スケジュールにも大きな影響が出るため注意が必要です。
解決策の基本
解決策の基本は、まず土地家屋調査士による調査・測量を行い、古い地積測量図、公図、登記事項、現地占有状況を照合し、隣地所有者と立会いのうえ境界確認書を取り交わすことです。これが王道です。
隣地所有者が不明、または協力しない場合は、法務局の筆界特定制度の活用が有力です。これは筆界を行政的に特定する制度で、裁判より使いやすい一方、法務省は「所有権がどこまであるか」を最終判断する制度ではないと明示しています。つまり、筆界特定は実務上かなり有効ですが、所有権争いそのものを完全に終わらせる万能薬ではありません。
売却時の進め方 ~実務で再現性の高い方法~
売却の成功事例として再現性が高いのは、売り出す前に境界問題を見える化し、価格に織り込む方法です。具体的には、
① 確定測量まで終えて一般市場で売る
② 越境や未確定部分を資料付きで開示し、現況で買取業者に売る
の二方向です。

前者は時間と費用がかかる代わりに高値を狙いやすく、後者は価格が下がる代わりに早期成約しやすいです。
国交省資料でも、所有者不明土地問題への対応として、筆界特定制度の活用や関係者探索の合理化が示されており、境界問題を放置せず制度を使って整理することが有効とされています。
実務上の注意点
実務上いちばん失敗しやすいのは、「古い測量図があるから大丈夫」と思い込むことです。実際には、図面があっても現地の塀や占有状況がズレていることがあります。
成功のコツは、売却前に「確定できるのか」「現況で売るのか」を早く決め、契約書と重要事項説明で越境・未確定部分・将来負担の可能性を正確に開示することです。

境界は曖昧でも、説明が曖昧だともっと高くつきます。



